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ハチアレルギー

毎年夏になると、ハチに刺されてショック症状を起こしたというニュースを耳にします。ハチ刺されによって、日本では毎年、20-30名の人が亡くなっています。                                                                    ショック症状などの全身症状が出た場合、その多くはIgE(アイジーイー)抗体がかかわるアレルギー反応によるものとされています。

IgE抗体についての情報はこちら

 

ハチ刺傷の多い時期 1)
ハチ刺傷件数は4月から増えはじめ、7~10月に多発します。これは、この時期に営巣や幼虫の養育など、ハチの活動が盛んとなり、攻撃性が増すためと考えられています。
                                     

よく刺されるハチの種類 2,3)
ほとんどがアシナガバチスズメバチによるものです。
アシナガバチが最も多く全体の73%、次にスズメバチ・クロスズメバチの23%で、ミツバチは1%程度と報告されています。
                    

■アシナガバチ

巣は家屋の軒先、木の枝、草むらなどの人家付近によく見られます。

■スズメバチ

巣は、木の枝、木と木の間、土中、崖などのほか、家の軒下屋根裏などに作られます。

■ミツバチ

養蜂以外にも、野生化したミツバチが山林に生息しています。巣は、樹のほら、岩の間、墓石、屋根裏、床下など、閉鎖した空間に作られます。

 

ハチ刺されによる症状 1,2)
ハチ刺されによる症状には、ハチ毒そのものによる作用(中毒症状)と、ハチ毒に特異的なIgE抗体が作用するアレルギー反応があります。

■中毒症状

ハチに刺されたすべての人に起こりうる反応です。
刺された部位に発赤、腫脹(はれ)、疼痛が起こり、一般的には数時間で消えます。大量にハチ毒が注入された場合には、数分で全身浮腫(むくみ)やショック症状など、重篤な症状も現れることがあります。
■アレルギー反応 体内にハチ毒に対するIgE抗体が作られている人が起こす反応です。
局所反応(刺された部位周辺に現れる反応)と、全身症状(刺された部位以外にも現れる反応)があります。
ハチに刺された例で、全身症状の頻度は約10~20%で、ショック症状の頻度は数%と報告されています。

 

●局所反応

刺された部位に腫脹(はれ)が起こります。広範囲に長く続くこともあり、そのような場合は、次回刺されたときに全身反応を起こす危険性が高くなるとされています。

●全身症状

全身のじんましん、嘔吐・吐き気、寒気、動悸、呼吸困難、血圧低下、意識障害(ショック症状)などがあります。

 

ハチ特異的IgE抗体価とハチ刺傷との関係 1,2,4)
ハチに対してアレルギー反応を起こす人は、ハチ毒が体内に入るとハチ毒に対するIgE抗体(特異的IgE)が作られます。ハチに対するIgE抗体があるかどうかは、病医院で採血し、検査することによって分かります。検査項目はアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの3種類があります。

ハチアレルギーに関する研究報告では、次のようなことが報告されています。

ハチ特異的IgE抗体価が高いほど、全身症状を起こす可能性が高くなる。ただし、ショック症状は抗体価によらず、抗体価が低くても起こりうる。
局所反応でも、刺された部位の膨張(腫れ)が広範囲に数日続くような例は、特異的IgEが陽性になる場合が多く、次回刺された時に全身反応を起こす危険性が高い。
刺される回数が多いほど、IgE抗体価は高くなる。短い期間に2回刺されると、ハチに対する全身症状を起こしやすい。長い期間刺されないと、抗体価は低くなり、次回刺された時に全身症状が出る確率は低くなる。
 症状がアレルギー反応でなく中毒症状の場合は、IgE抗体が作られないため、陰性となる。

 

ハチ刺されを予防するには 1)
ハチ刺されを避ける方法としては、以下のような方法があげられています。

  1. ハチの巣に近づかない
  2. 家屋内に営巣させないために穴をふさぐ
  3. 肌に密着する衣類を着、服の下にハチが入らないようにする
  4. 白っぽい服を着る
  5. 花模様のある服や黒い服を避ける
  6. 芳香のある化粧品を避ける
  7. 戸外で甘味物を食べない
  8. 自動車の窓を開け放しにしない
  9. ハチに刺されないために止まらせない(止まると刺すので)
  10. 洗濯物を取り込むとき、ハチを紛れ込ませない
  11. 不必要なときに、藪の中に入ったりしない
  12. 見張り役のハチを見かければ、巣が近いことを知る

     

 

 

 (参考文献)

  1. 湯川龍雄ほか. ハチ・アレルギーの疫学:アレルギーの臨床 1999;19;854.
  2. 平田博国ほか. ハチ刺されにおける疫学:アレルギー・免疫 2005;12;344.
  3. 松浦誠ほか. 蜂の生態と蜂毒及びその予防、治療対策(林材業労働防止協会)1988年初版.
  4. 清水俊男ほか. 営林署職員の蜂毒特異IgE抗体および血中総IgEの検討:アレルギー 1990;39;654.