ホーム
ホーム
重症化について
4月 4, 2008 |

当サイトに掲載されている内容は、医療関係者を対象として弊社の体外診断用医薬品・測定機器に関する情報提供を目的として作成しております。国外の医療関係者および一般の方々への情報提供を目的としたものではありませんのでご留意ください。 

 症状発症後、さらに反復してアレルゲンに曝露されることで、局所の過敏性が亢進し、少量のアレルゲン曝露や非特異的(物理的)な刺激でも症状を起こすようになります。そのため、ますます頻回に発症するようになり、その症状も強くなります(重症化)1)。
 ある食物を摂取して軽い症状を示していた患者さんが当該食物を摂取し続けた結果、重篤なアレルギーを引き起こした例が報告されています2,3)。

重症化のデータ
 気管支喘息、アレルギー性鼻炎で原因アレルゲン負荷試験後に発現する症状が強くなること、また過敏性が亢進することが多数報告されています4,5)。

 成人気管支喘息311例(平均年齢42歳)を対象にしてアレルゲン曝露と感作の関連を検討するために、患者さんの家庭の室内塵中のダニ、ネコ、イヌアレルゲン量(曝露量)、皮膚試験(感作)、呼吸機能(一秒率)、気道過敏性(PD20ヒスタミン)、および気道炎症状態(呼気中一酸化窒素濃度)を測定しました。その結果、感作例では当該アレルゲンの室内塵中検出量が多い例ほど気道過敏性、気道の炎症状態が亢進していました6)。 すなわち、アレルゲンの反復する曝露により気道の炎症が慢性化し、重症度の指標である気道過敏性が亢進したと考えられます。

拡大表示

 食物アレルギーでは、当初原因となる食物の摂取で軽い症状を呈する例でも、当該食物を摂取し続けることで感受性が亢進し、症状が重篤となる例が小児、成人を問わず報告されています。

例1 乳児の魚アレルギー2)

8ヶ月: アコウダイを食べて5分以内に全身蕁麻疹を生じたが40分で消失。
10ヶ月: タラを食べて蕁麻疹。
1歳1ヶ月: ヒラメに接触し、5分後に接触部位に一致して蕁麻疹を生じた。その後種々の魚にふれるたびに接触部位に蕁麻疹が生じ、微量の焼魚、煮魚、魚加工品を食べて全身に蕁麻疹を生じるようになった。
2歳6ヶ月:

タイを食べた直後より咳、痰、咽頭浮腫、軽い呼吸困難などのアナフィラキシー症状を呈した。

例2 成人のトマトアレルギー7)
 スギ花粉症の17%がトマト摂取後にアレルギー症状を起すことが知られています。これは、スギ花粉とトマト果実の成分の間に同一の特異的IgE抗体が反応する共通成分(共通抗原)が存在するためで、この共通抗原に感作されたスギ花粉症例でトマトアレルギーが起こる可能性があります。また、本症例の特徴は、アレルギー症状が口腔に限られているということです。
 症例は42歳のスギ花粉症の男性で、2002年3月、トマトジュースを飲んで咽頭浮腫のため呼吸困難を起こして救急受診しました。特異的IgEはスギ、トマト共に陽性でした。軽快後、トマト摂取を禁じ、翌年1月にトマトジュースの負荷試験を実施しましたが、他覚症状(浮腫、発赤)はなく自覚症状のみとなりました。
 本症例では、スギ花粉への曝露により花粉症だけでなくトマトに対する感受性も亢進したために、トマト摂取後に重篤な食物アレルギー症状を引き起したと考えられます。

 

参考文献

  1. 大石 拓ほか:ゴキブリ喘息の家族症例.アレルギー2004;53:1163‐67.
  2. 安田和正:食餌性蕁麻疹のアレルギー学的研究(1)サカナによるアレルギー性食餌性蕁麻疹.アレルギー1984;33:1016‐1024.
  3. Temesvari E et al: Contact urticaria from watermelon in a patient with pollen allergy. Contact Dermatitis 1993; 28: 185-186.
  4. 吉田博一ほか アレルギー45;49‐61:1996.
  5. 鮫島 靖浩ほか.スギ花粉飛散と発症との関係-九州地区における検討-. アレルギーの領域 1997; 4: 32-38.
  6. Langley SJ et al. J Allergy Clin Immunol 2003; 112: 362-8.
  7. 川本仁.日呼吸会誌41;397‐401:2003.