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職業性
4月 4, 2008 |

当サイトに掲載されている内容は、医療関係者を対象として弊社の体外診断用医薬品・測定機器に関する情報提供を目的として作成しております。国外の医療関係者および一般の方々への情報提供を目的としたものではありませんのでご留意ください。 

 特定の環境で働く職業従事者は、特定の物質に頻回、長期に曝露されることにより、喘息、鼻炎、結膜炎などのⅠ型(即時型)アレルギー症状を引き起こすことがあります1)。その他に過敏性肺炎、接触性皮膚炎などⅢ型、Ⅳ型アレルギーも知られています。職業性アレルゲンは、以下に示すように多くのものがあります1~4)。したがって、問診時に本人および家族の職業を聞くことが原因アレルゲンの手掛かりになることがあります。ここでは、化学物質の職業性アレルゲンについて述べます。

 

職業性アレルギーの職種とアレルゲンの例 1~4)

職種 農業、林業、漁業、畜産業、養蜂業、工業、製造業、加工業、医療従事者、獣医師、美容師 など

アレルゲン

ソバ粉、小麦粉、木材粉塵、野菜・果実、花粉、ラテックス、魚貝類(粉塵含む)、動物のふけ、ハチ毒、ゴム、セメント、染料、染料、樹脂、防腐剤、接着剤、重金属 など

 

ホルマリン

 ホルマリンとは、ホルムアルデヒドの水溶液です。主に工業的に樹脂や接着剤に用いられるほか、防腐剤や殺菌剤として建材、家具、医薬品、歯科治療などにも広く用いられます5)。喘息、鼻炎、アナフィラキシーなど、特異IgE抗体の関与するアレルギー症状が報告されています6)。蒸気の吸入による症状のほか、歯根管消毒剤によりアナフィラキシーショックを起こした特異IgE高値の例が報告されています7)。

※シックハウス症候群について
 ホルマリンは、シックハウス症候群の原因として広く知られています。シックハウス症候群は、室内環境要因、特に室内の空気質に起因する健康障害を指します8)。シックハウス症候群でアレルギーの関与するものはほんの一部に過ぎません。アレルギー反応の確認には、特異IgE抗体測定が有用です。測定項目としては、化学物質ではホルマリンですが、それ以外にも、家の中に存在するアレルゲン(ダニ、カビ、動物のふけ、ゴキブリなど)が原因となる可能性があります。

 

イソシアネート(TDI、MDI、HDI)

 イソシアネートには、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などがあり、ポリウレタン樹脂の原料で、塗料、プラスチック、接着剤などに幅広く使われています。これらの製造従事者などにおいて、喘息、鼻炎、過敏性肺臓炎などの症状を引き起こすことが知られています9)。TDIが最も毒性が強く職業性喘息が問題となったため、揮発性の少ないMDIやHDIの使用が増えてきているとされますが、これらによる喘息例も報告されています9,10)。
 これら3種には交差反応性はありますが、それぞれ独立して陽性となる例も報告されています11)。

 

エチレンオキサイド

 医療器具の滅菌のほか、ホテル・旅館のリネン類の滅菌などに使用されるガス状の物質です12)。その他、有機合成原料、界面活性剤、殺虫剤、殺菌剤、顔料などにも使用されています。滅菌作業や、残留ガスが付着した器具の使用により体内に混入し、アナフィラキシー、蕁麻疹、皮膚のかゆみなどを引き起こします12,13)。

 

無水フタル酸

 可塑剤、塗料、樹脂などの原料として使用され、壁紙、床材、包装フィルム、塩ビレザー製品、プラスチック、染料、顔料などに使われています。刺激性が強く、これらの製造従事者などに喘息を引き起こすことが報告されています14)。

 

 

その他の特異的IgE抗体が測定可能な職業性アレルゲン

 ラテックス(「ラテックス」をご参照下さい)、オオバコ種子、絹

 

参考文献

  1. 中村晋. 職業アレルギーの本質:アレルギー・免疫 2004;11;581.
  2. 宇佐神篤ほか. 職業性鼻アレルギー:アレルギー・免疫 2004;11;619.
  3. 早川律子ほか. 職業性接触皮膚炎:アレルギー・免疫 2004;11;628.
  4. 平田博国ほか. 職業アレルギーとアナフィラキシーショック 2004;11;636.
  5. 松村年郎ほか. ホルムアルデヒドによる室内汚染:臨床検査 1999増刊号;43;1357.
  6. 鳥居新平ほか. ホルムアルデヒドとアレルギー疾患:アレルギー・免疫 2000;7;514.
  7. 国定充ほか. 歯根管消毒剤中のホルムアルデヒドに対するⅠ型アレルギーからアナフィラキシーショックに至った一例:日本接触皮膚炎学会誌 2000;7 Suppl.;101.
  8. 長谷川眞紀. シックハウス症候群の免疫アレルギー学的機序から:アレルギーの臨床 2005;25;554.
  9. 田中健一. アレルギー相談室Q&A:アレルギーの臨床 1995;15;219.
  10. 木内英則. イソシアネート(MDI)による職業性喘息の2例:アレルギーの臨床 1996;16;1068.
  11. Baur X. Immunologic cross-reactivity between different albumin-bound isocyanates:J Allergy Clin Immunol 1983;71;197.
  12. 労働福祉事業団高知産業保健推進センター. 平成15年度産業保健調査研究 エチレンオキサイド滅菌作業におけるガス曝露防止対策に関する研究:2004.
  13. 瀬川賀世子ほか. Ethylene oxide gas滅菌穿刺針によりシャント穿刺部の膨張をきたした維持透析患者の1例:透析会誌 1997;30;995.
  14. Maccia C.A. et al. In vitro demonstrationof specific IgE in phthalic anhydride hypersensitivity:American review of respiratory disease 1976;113;701.

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