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果実は、食物アレルギーを引き起こした原因食物として、卵、牛乳、小麦に次いで4番目に多いと報告されています。また、ショックの原因としても順位が高く、重要なアレルゲンです1)。野菜はアレルギーの原因として頻度は高くはありません。その中でもヤマイモは重篤な症状を起こす頻度が大豆、イカと同程度であり注意を要します1)。
果実・野菜類は、花粉やラテックスと共通抗原が存在することが知られ、花粉症患者やラテックスアレルギー患者がこれらの果実・野菜類を摂食すると、口腔部分に限った即時型症状、いわゆるアレルギー症候群(OAS)を引き起こすことで知られています2、3)。とくに果実に多く、最近では花粉-果物症候群、ラテックス-果実症候群と呼んでいます。口腔症状以外に呼吸器、消化器症状、アナフィラキシーなどの重篤な症状を起こす例があります。
(樹木花粉、イネ科花粉、雑草花粉、ラテックスについては、それぞれについてのアレルゲン説明をご参照下さい。)
以下に、花粉、ラテックスと共通抗原があると報告されている果物・野菜類を示します。(イムノキャップにあるアレルゲン項目は太字にしてあります。)
【花粉との共通抗原が報告されている食物】2)
| シラカバ |
バラ科 |
リンゴ、モモ、洋ナシ、イチゴ、サクランボ、スモモ、アンズ、ウメ、ビワ |
|
セリ科 |
ニンジン、セロリ、フェンネル、クミン、コリアンダー |
|
ナス科 |
ジャガイモ、トマト |
|
その他 |
キウイ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、アーモンド、ココナッツ、ピーナッツ |
| イネ科 |
ナス科 |
ジャガイモ、トマト |
|
ウリ科 |
メロン、スイカ |
|
その他 |
オレンジ |
| ブタクサ |
ウリ科 |
メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ |
|
その他 |
バナナ |
| ヨモギ |
セリ科 |
ニンジン、セロリ、フェンネル、クミン、コリアンダー |
| スギ科 |
ナス科 |
トマト |
【ラテックスとの共通抗原が報告されている食物】3)
高い 交差反応性 |
バナナ、アボカド、キウイ、クリ、ジャガイモ、トマト |
|
中程度の 交差反応性 |
マンゴ、メロン、モモ、リンゴ、パパイヤ、パイナップル、ネクタリン、パッションフルーツ、イチジク、ニンジン、ホウレンソウ |
果実・野菜類に症状を示す例は、複数に症状を呈することが多いことが知られています。しかし、バラ科果実でアレルギー症状を起こした症例が他のバラ科果実にも症状を起こす割合は55%程度、ラテックスに症状を起こした症例がラテックス関連果実にも症状を起こす割合は35%程度、ラテックス関連果実に症状を起こした症例がラテックスに症状を起こす割合は11%程度との報告があり、個々の果実・野菜類に特異的なアレルゲンが存在すると考えられます4)。
リンゴ・モモ・洋ナシ・イチゴ(バラ科)
バラ科果実は、シラカバ花粉との共通抗原によりOASを引き起こす原因として多くの報告がなされています。シラカバだけでなく、ハンノキ、ヤシャブシなど他のカバノキ科花粉患者においてもバラ科果実によるOASが報告されています5)。また、バラ科果実はカバノキ科花粉以外にラテックスとも共通抗原がありますが、バナナ、アボカド、キウイなどに比べてその頻度は少ないとされています3)。リンゴとモモは、アレルギーの原因さらにショックを引き起こした食品として、いずれも高い頻度が報告されており1)、加工食品に原材料名の表示が推奨されています6)。

メロン・スイカ・カボチャ(ウリ科)
ウリ科果実・野菜は、イネ科、ブタクサ花粉症に合併する食物アレルギーの原因として知られています。カボチャのアレルギーの頻度は高くはありません。
ニンジン・セロリ・パセリ(セリ科)
アレルギーの頻度は高くはありませんが、ハンノキ・シラカバなどカバノキ科の樹木花粉症、ヨモギ花粉症に合併する食物アレルギーの原因として知られています。
ジャガイモ・トマト(ナス科)
アレルギーの頻度は高くはありませんが、シラカバ、イネ科、スギ科花粉症患者、またラテックスアレルギー患者においてOASを起こすことで知られています。
バナナ(バショウ科)・キウイ(マタタビ科)・アボカド(クスノキ科)
ラテックスアレルギー患者がこれらの果実を食べるとアレルギー症状を起こすことで知られており、アナフィラキシーショック例も少なくありません。バナナとキウイは、アレルギーを起こした食品さらにショックを引き起こした食品として、いずれも高い頻度が報告されており1)、加工食品に原材料名の表示が推奨されています6)。

オレンジ(ミカン科)
イネ科花粉、ラテックスと共通抗原性があると報告されています2,3)。
オレンジは、加工食品に原材料名の表示が推奨されています6)。
ヤマイモ(ヤマノイモ科)
ヤマイモは単独で症状を起こす例の報告が多く、花粉またはラテックスの関与は低いと考えられます。ヤマイモは、アナフィラキシーを含む比較的重篤な症状を引き起こす頻度が高いと報告されており7)、加工食品に原材料名の表示が推奨されています6)。
また、ヤマイモはコリンを含有するため仮性アレルゲンとしても知られており、特異的IgE抗体測定は仮性アレルゲンの鑑別にも有用です7)。
その他の特異的IgE抗体が測定可能な果実・野菜類
| 【果実】 |
グレープフルーツ、マンゴ |
| 【野菜】 |
ホウレンソウ、タマネギ、ニンニク、タケノコ、サツマイモ |
参考文献
- 飯倉洋治ほか. 重篤な食物アレルギーの全国調査に関する研究:食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究 平成13年度研究報告書 2002;16.
- 山本美穂ほか. 口腔アレルギー症候群 –Oral allergy syndrome-:アレルギー・免疫 2002;9;564.
- 池澤善郎ほか. Latex-Fruits Syndrome:アレルギー 2002;51;591.
- Sicherer S.H. et al. Clinical implications of cross-reactive food allergens:J Allergy Clin Immunol 2001;108;881.
- 堀川達弥ほか. 皮膚科におけるoral allergy syndrome:アレルギー・免疫 2001;8;874.
- 向山徳子ほか監修. 食物アレルギー診療ガイドライン2005(協和企画)2005年初版
- 伊藤浩明ほか. ヤマイモアレルギーの臨床像とIgE抗体測定の意義:日本小児アレルギー学会誌 2005;19;65.