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ナッツ類は、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす頻度が高い重要なアレルゲンです1)。ナッツ類は、パンや菓子類のほか、和え物や揚げ衣など様々な食品に使用されています。症状は蕁麻疹、口腔アレルギー症候群(OAS)、喘鳴、アナフィラキシーショックなどがあり、ナッツ類に対するアレルギーは寛解しにくいといわれています2)。またナッツ類は、ヒスタミン遊離物質などを含むものがあり、かゆみや偏頭痛などの症状を引き起こす仮性アレルゲンとしても報告されています3,4)。ナッツ間には共通抗原性があるといわれています。しかしながら、数種類のナッツに反応する例よりも一種類のナッツに単独で症状を起こす例の方が多く、個々のナッツに特異的なアレルゲンが存在すると考えられます5)。また、ナッツ類はピーナッツとも共通抗原性があるといわれています。しかし、ピーナッツIgE抗体が陽性で、ピーナッツに対してアレルギー症状を示した症例のほとんどは、樹木ナッツに対してはIgE抗体陰性を示したと報告されています6)。一方、ナッツは花粉、果物、野菜とも共通抗原性があり、特にシラカバ花粉症患者でナッツによるOASを引き起こすことがあります7)。
※ ピーナッツは、大豆、エンドウ、インゲンなどと同じマメ科に属しており、樹木のナッツ(木の実)とは異なります。(ピーナッツについては、「豆類」をご参照下さい。)
クルミ
クルミは、ナッツアレルギーの原因として最も頻度が高く1)、加工食品に原材料名の表示が推奨されています8)。しかしながら、表示されていない食品に製造過程で混入しアナフィラキシーを起こした症例9)や、クルミが入っていると知らずに摂取して症状を起こした症例10)が報告されており、注意が必要です。

アーモンド
パンや菓子類などに広く使用されています。アーモンドによる食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIAn)が報告されています11)。

ハシバミ(ヘーゼルナッツ)
ヘーゼルナッツはシラカバ花粉、リンゴなどのバラ科果物、セロリなどのセリ科野菜と共通抗原があり、シラカバ花粉症患者でOASを引き起こす可能性があります12)。

カカオ
ココアやチョコレートの原料となります。アレルギーの原因となるほか、ヒスタミン遊離物質やフェニルエチルアミンを含むため、かゆみなどのアレルギー様症状や偏頭痛を起こすこともあります3,4)。
ブラジルナッツ
菓子類、ミックスナッツ、シリアルなどに使われます。ブラジルナッツによるアレルギーの頻度は高くはありません。

ココナッツ
菓子類、飲料、食用油などに使われます。ココナッツによるアレルギーの頻度は高くはありません。
参考文献
- 飯倉洋治ほか. 重篤な食物アレルギーの全国調査に関する研究:食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究 平成13年度研究報告書;16.
- 海老澤元宏ほか. 食物アレルギーによるアナフィラキシーの予防と治療:アレルギー・免疫 2003;10;1148.
- 池澤善郎. 薬剤・食品によるかゆみ:アレルギー・免疫 2003;10;1348.
- 渡邊美砂ほか. 偏頭痛:アレルギー・免疫 2000;7;1364.
- S.H.Sicherer et al. Clinical features of acute allergic reactions to peanut and tree nuts in chidren:Pediatrics 1998;102;6.
- K.Ito et al. Cross-reactive carbohydrate determinant contributes to the false positive IgE antibody to peanut:Allergology International 2005;54;345.
- 山本美穂ほか. 口腔アレルギー症候群 -Oral allergy syndrome-:アレルギー・免疫 2002;9;564.
- 向山徳子ほか監修. 食物アレルギー診療ガイドライン2005(協和企画)2005年初版
- J.A. Nordie et al. Anaphylaxis from undeclared walnut in commercially processed cookies.:J Allergy Clin Immunol 1993;91;154.
- 角田孝彦. アワビとクルミによる即時型アレルギーの各1例:アレルギー 2004;50;358.
- 森田豊ほか. ナッツ類(アーモンド・ピーナッツ)による食物依存性運動誘発アナフィラキシーの自験例:アレルギー 1997;46;305.
- 小川正. 果物、野菜、穀物アレルゲンと植物防御タンパク質:アレルギー・免疫 2001;8;902.