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ハチ刺されによるアレルギーは、気管支喘息や鼻炎、結膜炎などのアレルギーと異なり、重篤な全身症状(アナフィラキシー)を起こして死亡する可能性が高いことで知られています1)。日本では年間20-30名の死亡例が報告されています2)。ハチ刺傷件数は4月から増え始め、最も攻撃性の増す時期である7-10月に多発します1)。ハチに刺されるのは営林署職員などの林業従事者に多く、農業従事者、養蜂家、送電線等の点検作業、ハイキング、墓参り等でも報告されています2,3)。刺される頻度は、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの順に多く、ほとんどがアシナガバチとスズメバチです2)。アレルゲンとなるのは刺された時に注入されるハチ毒ですが、アシナガバチとスズメバチの毒は共通抗原性があり、ミツバチ毒とこれら2種との共通抗原性は低いといわれています4)。日本では、ハチ刺されにより全身症状が発現する頻度は約10-20%で、ショック症状の頻度は数%程度とされています2)。また、全身症状は特異的IgE抗体が関与するアレルギー反応とされていますが、ハチ毒そのものによる反応を起こす例もあり、その場合は特異的IgE抗体が陰性となる可能性があります1)。局所反応でも、刺傷部位の膨張が広範囲に数日続くような例は特異的IgE抗体の陽性率が高く、次回刺傷時に全身反応を起こす危険性が高いとされています1)。
スズメバチ
スズメバチは、スズメバチ科のスズメバチ亜科に属するハチの総称で、日本ではキイロスズメバチが最も多く、クロスズメバチ、ヒメスズメバチなども見られます3)。これらスズメバチ間の毒の共通抗原性は高いことが報告されています5)。巣は樹枝、樹間、土中、崖などのほか家の軒下や屋根裏などにも作られ、被害は山地、都市近郊の丘陵地、低山地の新興住宅地などで報告されています3)。
アシナガバチ
アシナガバチは、スズメバチ科のアシナガバチ亜科に属するハチの総称で、日本ではセグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチなどがよく見られます3)。巣は家屋の軒先、木の枝、草むらなどの人家付近によく見られ、刺される頻度の最も高いハチです2、3)。草刈、剪定、巣付近の通行時、布団や衣類の取り込み時に刺されることが報告されています3)。スズメバチと近縁で、スズメバチとアシナガバチの毒には共通抗原性があることが知られています4)。
ミツバチ
ミツバチは、ミツバチ科ミツバチ亜科ミツバチ属に属するハチの総称で、日本では在来のニホンミツバチと、ヨーロッパ原産のセイヨウミツバチがいます3)。養蜂以外にも、野生化したミツバチが山林に生息しています。巣は、樹洞、岩の間、墓石、屋根裏、床下などの主に閉鎖空間に作られます。刺される頻度はスズメバチ、アシナガバチに比べて低く、養蜂家での刺傷被害が報告されています6)。

参考文献
- 湯川龍雄ほか. ハチ・アレルギーの疫学:アレルギーの臨床 1999;19;854.
- 平田博国ほか. ハチ刺されにおける疫学:アレルギー・免疫 2005;12;344.
- 松浦誠ほか. 蜂の生態と蜂毒及びその予防、治療対策(林材業労働防止協会)1988年初版.
- 池森享介. ハチアレルギーの診断と治療:アレルギーの臨床 1988;8;16.
- 三橋将人ほか. ハチアレルギーの血清学的検討 第1報ミツバチと野生バチとの共通抗原性についての検討:アレルギー 1982;31;1056.
- 宮地純樹ほか. 養蜂家の臨床アレルギー学的検討:アレルギー 1981;30;138.